【書評・感想】五木寛之『ゴキブリの歌』から学ぶ、旅と文章の魅力

こんにちは、けんちゃんです。

今回は、五木寛之さんのエッセイ『ゴキブリの歌』を読みました。

僕が心から敬愛する長編小説『青春の門』の主人公・伊吹信介。新天地へ引っ越し、新入社員として新たな一歩を踏み出したあの頃の自分に大きな影響を与えてくれた人物です。様々な経験を通して男として成長していく信介の姿に心を打たれ、「自分も毎日を意欲的に過ごそう」と奮い立たせたきっかけでもありました。

この『ゴキブリの歌』を読み進める中で、ふと「伊吹信介という人間は、やはり筆者自身の生き様や経験が濃く投影された存在なのだ」と感じました。筆者の生々しい体験と思索が凝縮されたこのエッセイは、読む者に強烈な行動力を与えてくれます。

今回は、本書の魅力や、そこから得た「旅」「文章」「生き方」についての気づきをシェアしたいと思います。


1. 旅の記憶と、海外から届く手紙への憧れ

「去年の今ごろ、チェコスロバキアのプラハにいた。短い旅行だったが、忘れ難い記憶がある。そのことを思い出させたのは、ローマから来た一通の葉書だった。たどたどしい英文でしたためられたその葉書は、私が去年プラハに滞在した間に知り合った若い恋人同士からのものである。」(p.7)

本書の中では、プラハの街で出会った二人の恋人とのエピソードが描かれています。まるで自分がその場にいるかのような鮮やかな描写に引き込まれ、海外旅行へ行きたいという衝動が抑えられなくなりました。

現代は、旅先で出会った人とSNSを交換して終わることがほとんどです。しかし、海外からわざわざ「葉書」が届くなんて、なんとロマンチックで素晴らしいことでしょうか。

「相手から葉書が欲しいなら、まずは自分から手紙を送ってみればいい」
そう思い、まずはフィリピン留学時にお世話になった友人のシャシャに連絡して住所を聞き、手紙を出してみようと決意しました。WhatsAppの登録も済ませ、一歩外の世界へつながるアクションを起こしていきます。


2. 人の目を気にしてしまう「弱さ」と、それを超える瞬間

「私はあたりに日本人がいないことを確かめ『ハイ』と気障な発音で答える。そばに同胞がいると、これは駄目である。中学初級程度の英語はしゃべれるのだが、それが、日本人が横で聞いていると、絶対にしゃべれない。なぜか恥ずかしいのだ。」(p.23)

この感覚、すごく共感します。英語がペラペラな人の前でカタコトの英語を使うのは恥ずかしくないのに、それを「日本人の知り合いや同胞に見られている」と思うと途端に恥ずかしくなります。

人に媚びている姿を見られるのが嫌だったり、自分のプライドが邪魔をしたり。自分の弱点を晒しているように感じてしまうのです。

先日、大きなカメラを背負った外国人の旅行客を見かけました。本当は話しかけたかったのですが、周りの日本人の目を気にしてしまい、なかなか声をかけられませんでした。窓の外には福島の美しい山々が広がり、電車の振動とともに自分の心臓が激しく鼓動していました。

しかし、「人の目を気にしてたまるか」と決心して話しかけてみると、フランスから来た世界中を旅する写真家の方で、馬の造形美に魅せられ60カ国以上を巡っているという、最高に面白い話を聞くことができました。

人の目を気にしなければ、世界はもっと広がります。「かっこいいと思う人がやっていることを、自分もやってみる」。そこに自分の求めている生き方のヒントが隠されているはずです。


3. 日常の発見:需要と供給、そして旅行の知恵

「土曜、日曜、祭日の前夜を酒、また時間的には12時以降、人影もまばらになった頃を出発の時と定めた……(中略)……コンピューターの如くに計算し、その結果資金の目がつけば、悠々壮途に赴くというのが当時の私たちの生活の知恵だったのである。」(p.90)

先日、山形の天童に仕事で転勤した大学時代の友人の家に泊まり、その後一人でホテルを探す体験をしました。宿泊費を調べてみると、金曜は1万円、土曜は7千円、そして日曜の朝になると3千円にまで変動していました。

需要と供給によって価格が激しく変わる面白さを実体験し、あえて人が利用しないタイミングを狙って休日に出かける「賢い旅行のスタイル」の魅力を知りました。


4. 文章を書くということ:終点を見据える大切さ

「ある文章を書き出すときには、最後の1ぎょうなり、最後の結論なりがはっきり確定できるまでは書き始めることができないからだ。」(p.204)

普段、僕はその場その場で思いついたことを繋げていく書き方をしてしまっています。しかし、五木さんのように「最後に読者にどうなってほしいのか」「何を一番伝えたいのか」という終点を決めてから書き出すことで、文章の説得力や読者への価値が大きく変わることに気づきました。

また、五木さんの日記には豊かな情景描写や心理描写が詰まっており、自分の出来事の羅列だけの日記とは深みが違います。「その時の自分の考え方が分かる文章」を残すために、これからの記録の仕方も変えていこうと思います。


5. 健康のありがたみと、挑戦者であり続ける生き方

「青春、という言葉はさわやかだが、この日記のようにあるような生活が青春だとすれば、二度と繰り返したくないような気がする。(中略)健康はイノチより大事。これ、全く実感がある。」(p.150)

日々の散歩や水分補給、健康的な食事を好む生活のおかげで自然と健康体を維持できていますが、年齢や環境の変化とともに、健康の重みは増しています。

将来への悩みや、自分はどうなりたいのかという問い。バーで出会った「自分は成功者だ」と語る人の生き方に違和感を覚えたのは、彼らがすでに「完成」してしまっているように感じたからかもしれません。

結果としてどうなるかよりも、「何かに向けてがむしゃらに頑張っている状態」「いつまでも挑戦者でいること」こそが、自分が本当に求めている姿なのだと気づかされました。


まとめ

五木寛之『ゴキブリの歌』は、旅に出るワクワク感だけでなく、人生において大切な姿勢を思い出させてくれる一冊でした。

  • 人の目を気にせず、自分の「やりたい」に飛び込むこと
  • 文章を書くときは、伝えたいゴールを意識すること
  • いつまでも挑戦者のままでいること

このブログ記事が、同じように日々の生活や将来に悩む方や、旅に出たいと願う方の心に少しでも引っかかり、一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

【中古】 ゴキブリの歌 / 五木 寛之 / 新潮社 [文庫]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】

価格:228円
(2026/8/10 20:45時点)
感想(0件)

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

タイトルとURLをコピーしました