一人旅 北海道編

私の最初の一人旅である。

就活の時期であり、IT企業の三日間のインターンシップを受けに北海道の札幌市に行くことになったのだ。

夏休み中だったので誰か友人を誘っていくという選択肢はあったのだが、なぜかその時は自分一人で行きたいという気持ちが強かった。同じインターンを受けに来た人の中に友人と旅行気分で来ている人がいて、その人に対して少しカッコ悪いなと思うほどだった。

親にも誰にも言わずに一人で飛行機に乗って向かった。

今まで修学旅行で台湾に行く時に飛行機に乗ったことがあるだけで、自分一人で乗るのは馴染めてだったから少し緊張していた。だけど飛行機がエンジン音をゴォーっと鳴らして上昇して行く時に、とても解放感というか、自分一人になった自由を感じた。

今思うと、仕事も何が向いているのか、自分は何が好きなのかもいまいちわかっていなかったから、自分のことを知るために旅に出たかったのかもしれない。

新千歳国際空港についた。もう空は暗くなっていた。まず予約していたカプセルホテルに行くことにした。札幌市は街が板チョコのように区切られていて、東西南北何条という表記の仕方だったので場所が覚えやすかった。

荷物をカプセルホテルに置き、晩飯を食べるために外に出た。外は暑く半袖長ズボンで歩いていて汗ばむ気温だった。

食べたいラーメンのお店を事前に調べていたので、そのお店に向かった。お店の名前は雪風。店の前には行列ができていた。雰囲気でなんとなく中国人とわかる人も多く、さまざまな国の人がいた。

仙台なアーケードよりも大きいアーケードが何個もあり都会だなと感じた。路面電車は走っていない。やはりウイスキーのおじさんの看板のところが一番栄えているなと思った。

その日は移動で疲れていてラーメンを食べたら宿に帰り、ぐっすりと寝た。

二日目、その日は朝八時からインターンだった。場所は大通り東七条だったのだが、地図を見間違えて全くの逆の大通り西九条に行ってしまった。社員の方に電話してその間違えに気づき、歩いたらとても間に合わないので大通りを全力で走った。僕は小学祭の頃から朝が弱く、いても学校に全力で走って登校していた。それは年齢を重ねても変わらなかった。

スーツで全力で走り、開始時間の五分前に汗だくになりながらついた。「遅くなりまして申し訳ございません」と謝るとギリギリ間に合っているから大丈夫だよと言ってくれた。部屋は教室の半分くらいの大きさの部屋で前の方にはプロジェクターがありそれを囲むようにコの字で僕たちインターン生が座った。僕を含めて七名だった。その中の一人にワンさんという中国出身の博士の方がいて、その人の知識量や発言する時の論理立った語り方に敬服してしまった。

僕はアホで幼稚な考えをイキイキと発表した。遅刻ギリギリで行ったことが逆に肩の力を抜くことを手伝い、余裕を持って発表することができた。

インターンが終わるとすぐに宿に帰り着替えて札幌の夜の街に繰り出した。昨日のうちに札幌の繁華街はどこなのかとか、美味しそうなラーメン屋さんはどこかとか、良さげな自分好みの風俗店の場所をなんとなく覚えていたのでマップを見ずに歩いた。

ラーメン屋さんは十八時ごろになると混んでしまうことがわかったので十七時ごろに行った。夢幻というラーメン屋で食べた。海老味噌の濃厚なスープが黄色い中細麺に絡んでとても美味しかった。札幌に滞在できるのは三日間だけだからすぐに二軒目のラーメン屋に行った。信玄というあっさり系のラーメン屋さんに行った。ここはすでに混んでいて二十分ほど並んでやっと食べることができた。もやしとねぎがたくさん入っていてワンタンスープをもっと薄くしたような味だった。

札幌のススキノはやはり夜の街という印象であったから、風俗店に行ったり、ナンパをしたり、マッチングアプリで出会おうと思った。

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