この本は本屋の女性店主がお勧めしてくれて買った本だ。
「普通おすすめの本なんて紹介しないがこの本だけは特別におすすめ」と言って教えてくれた。その話を聞いて僕は速攻で買った。この人が勧めてくれたことをすぐに実行するというところは自分の数少ないいいところであると思っている。
その方の言うとおりとても面白い本だった。日頃見過ごしている雑草たちがこんな生き方をしていたとは。奥が深すぎる。生き残るために知恵を絞っている感じがたまらない。犬とか猫などの動物よりも愛情が湧いてくるかもしれない。
この本から知ったことをまとめる。
ススキ
ガラスと同じ成分であるケイ酸を土から吸収して体内に蓄積させている。
これは外敵から自分の身を守るためであり。枯れた後も倒れずに残っている
のはこのためである。
ススキはスクスク育つ木という意味からその名前がついている。
そしてカヤ、屋根葺材料として重宝されていた。東京にある茅場町というのはススキを管理する,かや場と呼ばれていた場所の名前が残ったものである。
(ススキは前から知っていた。ススキの花言葉は心が通じるである。ススキを見るたびに祖母にその意味を教えて,二人で笑い合っていた。)(色々な花の花言葉を調べてみよう。)
オナモミ
雄なもみの言葉の意味。なもみは,なずむからきており,ひっかかるという意味である。
ひっかかる男という意味なのだ。雌なもみも存在する。
オナモミの衣服などにくっつく構造がマジックテープの発明のヒントになった。(これもバイオミミクリーの一種である。)
オナモミの実の中には二つの種子が入っている。その二つの種は同じタイミングで発芽するわけではない。
せっかちでやることが早い種子と、のんびりとしていてじっくりことをなす種子。優劣はない。性格の異なる二つの種子があるからこそどんな環境も克服できるのである。
全ての子供達は、みんな個性豊かに伸び伸びと育ってほしい。子供達に投げられたオナモミの実はそんなメッセージをうちに秘めている。
こんな感じ方ができるなんて素敵だな。頭が柔軟であると感じた。
同期が僕の質問を褒めてくれた。
「その質問を自分では思いつかないが、聞いてくれるととても助かる」というのだ。褒め上手だなと思った。
僕は人を褒めるのが苦手なんだと思う。浅いところしか褒めることができない。俺はもっと重い人間になりたい。
友人にはやっぱり人を褒めるのが上手な人がいる。自分が褒められて嬉しかた時になんで嬉しかったのかを考えて,それを人に返せるようにしたい。
今回嬉しかったのは,自分が人のためになっているのかわからず不安だったところを肯定してくれたから。その同期の人は口数が多い方ではないのに褒めてくれたからである。自分は口数が多く発言になかなか重みが出ないと思う。
(禍は口より出で,病は口より入る。中国の文学者である傳玄の言葉)
曼珠沙華(ハミズハナミズ,彼岸花)
葉がない状態で花が咲き,花が終わってから,葉が伸びる。
種子をつけることができない。三倍体の植物だからである。普通の植物はオスとメスの二倍体である。
種無スイカは人工的に作られた三倍体である。外来たんぽぽがクローン種子を作るのも三倍体であるからだ。
三倍体の動物も存在する。人間にも存在する。
(人間も三倍体になれば無性生殖ができるのではないか)
三倍体を増やせば無性生殖ができるわけではない。
この花は人が植えることでしか繁殖しない。
なぜ人の手によって植えられるかというと飢饉の際に救荒食となるからである。
いざという時に役にたつこの大切な種子を子供たちに触らせないように、「絶対に触ってはいけない」と伝えられてきた。
年月が立っていくうちに触ったはいけないという禁忌だけが残って怖いイメージを持つようになったのだ。このように形だけが残って本来の意味を失ってしまったことを形骸化という。
(他にも昔の言い伝えがマイナスのものだけ残ってしまったものがある気がする。夜中に口笛を吹くとお化けが出るというのは近所迷惑になってしまうのを防ごうとした親のうそであろう。)
この本を読んで感じたこと
本を読んだが覚えられることは少ししかない。もっと読んだならちゃんと覚えたいと思った。
でも生活している上でこの本で読んで知った雑草たちを見かけることが多くなった。見かけた時には,一緒にいた親しい人に雑草の豆知識を少しでも伝えることができた。その時にこの本を読んで良かったと思った。飛躍して本を読むことが好きになってよかったと思えた。
自分は新しいことを知って,それを親しい人に教えられることが好きなのかもしれない。
これをきっかけに他の動物も生き残るためにどんな泥臭い作戦を立てているのかを調べてみたいと思う。