春琴抄 谷崎潤一郎

この本は表紙が格好いい。日本の文学という感じがする。

文量もそれはど多くないため読みやすい。

盲目になってしまうが美しい春琴(しゅんきん)という少女。三味線の才能に恵まれ、人当たりが強い。

その春琴を師匠とする丁稚の少年。

この二人の物語である。

二人の関係は師弟である。

しかしそれだけでない。普段は少年に対し当たりが強いがその少年の子供を身籠る。しかし周囲にはその関係を知られたくないし、頑なに認めない。

二人の関係の不思議さに引き込まれる。無駄な情報は何もない。

スムーズに今のところ話が進んでいく。

鳥の声の調教などとても奥ゆかしい日本の文化を垣間見ることができる。そういった点もこの本の魅力だと感じる。

鶯の鳴き声を引き合いに出して弟子たちを説く。なんて趣のあることだ。54

難しい文章もスラスラと読めるようになってきた。文章を読んでいるとこんなにいいことがあるのか。(今日大勢の前で文章を読む機会があった。そのような場でも自分が文章を読むことに誇りのようなものを感じた。ただ文字の羅列を読むのではなく、瞬時に意味を理解して、聞いた人が理解しやすいようにリズムをとってよんだ。とても楽しかった。今思い出すと小学校の国語の授業で先生に指されて文章を読むのが楽しみだった記憶がある。早く先生ぼくを指してくれと思っていた。昔から好きだったのかもしれない。文章は素晴らしいものだ。っv

春琴の顔に熱湯がかけられ醜い顔になってしまった。時を同じくして佐助は白内障が悪化し失明してしまった。

彼はこれを天意だと彼女に言った。

(なんて献身的な言動だろうか。自分はここまで人に尽くすができるだろうか。本当に愛した人にならできるのかもしれない。ぼくはいつになったら人に依存するようになるのだろうか。助けを求めてくれる人がいいのかもしれない。わがままを言われたい。そうすればその人とぼくの依存度がたまかまる。何かで男は失ってから大切さがわかる。女は失ってから必要のないことを知る。というのを見た。その通りだとぼくは思った。好きになったら間髪を容れずに関わり合い続けるのがいいのだろうな。)

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